名古屋大須といえば若いころ遊んでいた街です。ライブハウス、中古レコード屋、小劇場、24h営業のコンビニもどき、倒産する前の吉野家、演芸場(には行かなかったけど)、そして女友達のボロアパートw。70年代末の大須は今のようなコジャレた街ではなく、潰れかけの商店街とサブカルの同居する混沌とした街でした。その一角に当時からあったのが生駒屋です。老舗の味噌煮込みで、今となっては有名な店です。
若い頃は味噌煮込みなんてあまり美味いとも思いませんでしたから、一、二度行ったことあったかなという程度。その後は数年前に行きましたか。狭いこの店の場合、おばちゃんとの名古屋弁のやりとりとか、壁に貼ってある芝居のポスターとか、やっぱり大須だなという感じがたまりません。で、味噌煮込み玉子入りと小ご飯を注文。普通のみそにこは680円、玉子50円、親子で100円追加です。ご飯は100円か150円。
土鍋出てきますが、鍋蓋がズレています。伝統どおり土鍋の蓋には湯気を逃がす穴が開いていませんから、こうしないといけないのです。鍋の蓋はこれまた伝統どおり、取り皿として使います。このスタイルを守る店は最近ほとんどないですね。地元の作法なんですけど。出汁は濃くて甘辛いです。特徴としてはかなり甘みが強いこと。甘辛い味噌カツの味噌をスープにした感じというとご理解いただけるでしょうか。
まあ、名古屋人としては不味いわけがありません。この味だから白い御飯のオカズになるのです。味噌煮込みをオカズにご飯を食べることの意味がわからないという人は、ここで体験すべきです。で、麺は生駒屋の場合、いわゆる固い生茹でのようなみそにこ特有のものでなく、単純にうどんですね。細めでやや平たいうどんはドロドロにはならない出汁ゆえ、味噌うどん的にすすることも出来ます。これはこれで美味しいものです。昔のロック友達の一人は、一週間に一度はみそにこを食べないと死ぬと言ってましたが、早くにこの味に目覚めていたのですね。私も目覚めてしまいましたから、死ぬまで週イチでみそにこが食べたいものです。